この住まいのリビング空間は、

南面に大開口を設けることで、

冬季の貴重な日射取得を最大化するよう計画しています。

室内に伸びる長い日射ラインは、

ただの「光」ではなく、

Heat20 G2.5レベルの断熱性能とC値0.1の気密性能を備えた住宅だからこそ

"取り込んだ熱がそのまま室内環境の質を底上げするエネルギー"として機能します。

床材には杉の無垢材を採用し、

熱容量の大きい素材が太陽熱を緩やかに蓄え、

夕方以降の温熱環境に寄与します。

時間とともに変化する木目の陰影は、

素材そのものが持つ柔らかさと、

自然光の移ろいを空間のデザイン要素として際立たせています。

正面の壁には65型薄型テレビの設置を想定し、

視線の抜けと家具配置のバランスを最適化。

ソファやYチェアなど脚元の軽い木質家具を選ぶことで、

空間全体に圧迫感を与えず、光が床面へ美しく広がるよう計画しています。

これは、木質素材と日射環境を調和させるための重要なポイントです。

また、開口部の断熱性能を高めることで、

冬季でも窓際の温度ムラが起きにくく、

リビング全体が「どこに座っても快適」な温熱環境を実現。

視覚的な明るさだけでなく、居心地そのものの質が向上しています。

性能と意匠、素材と光環境。

そのすべてが整うことで、日常の何気ない時間が心地よく積み重なるリビングとなっています。