黒瀬のいえ(十三)『地面に引かれた一本の白い糸から、物語がはじまる』2026.07.22
こんにちは。
・平面から立体へ、時間が動き出す瞬間
図面の上で何度も描き直し、施主様と幾度も語り合ってきた計画。
敷地に白い縄を張り巡らせる「地縄(じなわ)」を行いました。
更地に白い糸が渡された瞬間、今まで紙の上にしか存在しなかった空間が、
一気に「そこにある現実」として立ち上がってきます。
・「小さく見える」という不思議
実は、地縄を張った直後の敷地を見ると、誰もが一度はこう感じます。
「あれ? 思っていたより少し小さく見えるかも......?」
でも、ご安心ください。これは建築の世界ではおなじみの「視覚の錯覚」なんです。
遮るもののない広い空間に線だけを引くと、どうしても実際よりコンパクトに感じてしまうもの。
ここから基礎が立ち上がり、
柱が組み上がり、
壁ができるにつれて、
空間は一気に本来の深みと開放感を取り戻していきます。
今見えている白い糸は、いわば未来の住まいの「骨組みの第一歩」なのです。
・この場所で繰り広げられる、未来の日常
足元に転がる砂利や、風のにおいを感じながら白いロープの内側に立つと、
施主様のご家族がここで過ごす数年後、数十年後の姿が目に浮かびます。
朝の光: 東から差し込む光が、リビングのどこを照らすのか。
深い庇(ひさし)の下で: 夏の強い日差しや雨を遮り、心地よい風を通す軒下の空間。
季節を越える心地よさ:
冬の寒さが厳しい日でも、一歩家の中に入れば、足元から包み込まれるような温もりに満たされる暮らし。
ただ「建物を建てる」のではなく、
この土地の風土や光の入り方、
季節の移り変わりを計算し尽くした空間をつくる。
その決意を改めて固める瞬間でもあります。
・物語の第一章がスタートします
地縄は、施主様にとっても「いよいよ家づくりが形になるんだ」という実感が湧く、大切な節目のプロセスです。
この地面に引かれた白い糸は、ご家族の想いと、私たちが込める設計の工夫をしっかり結びつけるためのもの。
これから無事に工事が進み、この場所が温かい笑顔で満たされる日まで。
小さな白いロープから始まる新しい物語を、心を込めて紡いでいきたいと思います。

原価を公表する分離発注方式により適正な価格を見える化、



